絽の喪服

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友人のご主人が急逝したため、しばらく友人宅に泊まり込んでおりました。

葬儀の手配自体はご主人の親戚の方々が主に仕切ってくださったので、私はそれ以外のというか、友人がなるべく1人にならないよう、朝昼晩きちんと栄養を摂って身体を休ませられるよう、おさんどん(もう死語でしょうか。超久しぶりに使いました😅)などをしつつ、後はひたすら普段通りに過ごせるよう、努めました。

このところ私が遠方に転居したことで、しばらく会っていませんでしたが、友人とは小学校からの付き合いなので、幼馴染でもあります。お互いの家まで走って1〜2分のご近所さんで、子供の頃からお互いの家に泊まったことも数知れず。結婚した後も遊びに行ったり泊まらせて貰ったりしており、まさに気の置けない間柄かと思います。なので、なるべく以前と変わらず、普段通りに過ごせるよう心がけました。

喪服はお義母様から形見分けで譲り受けた喪服ワンピースを着るつもりとのこと。上等そうな夏物でしたが揃いの上着は無く、80才超の御婆様が着ていたものなので、借り物感が否めません。

故人の関係で年配の参列者が多いこともあって、「喪主なら和装でもいいのでは?絽の着物なら葬儀屋さんでレンタルしてるでしょ」と私が言うと、友人が「絽の喪服なら持ってるけど自分では着られないし」と。

実は私、着物のお免状を持っていまして、一応他人に着付けることも出来るのですが、そのお免状試験の際、この友人に着付けモデルになって貰ったんですね。この時点で、お互いにそれを思い出したと。

早速クローゼットを探索してみると、嫁入り道具として実家で誂えたという和装一式が、桐の和箪笥の中にしっかり眠っていました。喪服を2種類も揃えるとは、ご実家のお母様も娘の嫁入りにはかなり気を遣ったんだろうなぁと思われますが、母の心子知らずですね。

ずっと箪笥の肥やしになっていたとはいえ、20年近く前にお義父様が亡くなった際、絽の喪服を一度着たそうで、それで覚えていたようです。以前、着た際はお義母さまが着付けてくださったとのこと。

肝心の着物が傷んでないか確認すべく広げてみると、あちらこちらに有り得ないたたみ皴があり、吊るしたくても衣紋掛けもありませんでした。が、まあ一応問題はなさそうでした。

何がどうなっているのか全く分からないと友人がいうので、更に調べてみると、着物以外の小物が全くと言っていいほどありませんでした。ひえぇ😅。

流石に肌襦袢と裾除けはありましたが、肝心の帯枕や帯板は見当たらず。腰紐はたった1本で伊達締めもありません。いくらなんでも、これでは流石に着付けられません💦。

着物を持っていても知識がないと、こういうことになるんですねぇ。。。

おそらく着替えた義実家に置いたままかもなぁということでしたが、今は無人で電気も水道も止めている義実家まで行って家探しするのもなんですし、見つかるという確信もありません。

着物の喪服なんて、もう喪主や近しい親族でもない限り着ない方が主流ですし、ましてや絽は真夏しか着られず、将来着る機会なんてもうないだろうと思われるので、今着ないでいつ着る!と。

翌朝、お寺へ行くついでに近くにある着物屋さんで足りない物一式をががーっと一気に揃えました。勿体ないので、私にも貸してあげるよ、と言われましたが(不吉な😅)、家紋が違うから借りられませんってば。

帰ってきてから必要な物を広げて、せっせと準備をしていると、いま一番来てほしくない闖入者が😅。

たたみ皴をスチームアイロンでやさーしく丁寧に伸ばして、なんとか準備完了。が、最大の危機は去らず。そっちに行かないで、お願い。。。

余りにも久しぶりの着付けだったので、YouTubeで動画を探しておさらいしました。YouTubeに載せてくれた呉服屋さんや着付け教室のみなさんに、感謝です😊

見るからに高そうな帯だったので、今回、手結びでも縛らず折り込むだけのパターンを試しました。しっかり結んでしまうと、帯が結構傷むんですよねぇ。。。

が、いざ完成してみると、縛らない分、帯枕(帯揚げ)と帯締め1本でしか帯が止まっていない訳で(当たり前なんですが)、そこに思い至ったら、もしかして落ちるかも。。。と思えてきて、正直ビビりました。

また、たかがお太鼓結びなのに、いつもの手結びと逆手になった分、想定以上に時間がかかり、通常結びに戻す時間はとれませんでした😅。後悔先にたたず。

自分で着る分にはなんということもないのですが、着慣れない人間が着ているということで、最後まで帯が緩まないか、ハラハラドキドキ、友人が声を上げる度に(懐かしい人が来るたびに声をあげていたので)、帯が落ちたかと、正直、生きた心地がしませんでした😅。

慣れないことはしないに限りますね。。。

いざ着せてみると、やはり絽の着物は良いですね。涼しげでしゃっきりして見えますし。絽を自分で着たことは一度もありませんが、あの透け感は夏らしくて素敵です。

全てが終了し、帰宅して一息ついてたところで、きちんとした写真を一枚も撮らなかったことに気が付きました。あーあ。

4件のコメント 追加

  1. nikonikomaison より:

    KYOさん、日本のことを知らなくて恥ずかしいという部分と、もう一つは、年をとるとやっぱり一番似合う正装は着物なんじゃないか、と思ったりするんですよね。洋装では白人に勝てませんもの(って勝ち負けの問題じゃないんだけど)。ちょっとしたレストランに行くとか、結婚式とかっていう時に、ささっと着れるといいな、と思います。でも着物は着慣れてないとカッコ悪いし、所作もちぐはぐになるし。着付けを習ってみたい、これからでも遅くないかな?と思う反面、やっぱり難しいかなー?と思ってそのままなんです。

    いいね: 1人

    1. KYO より:

      nikonikomaisonさん、そのお気持ちはよく分かります。

      色々書いておいてなんなんですが、着物の着付けは難しいものではありません。
      既婚の方が結婚式やよそ行きのレストランに着ていくような場面であれば、主に訪問着(もしくは付下げ)を着ることになるかと思います。であれば帯結びはお太鼓だけ覚えれば十分です。他の様々なバリエーションをいちいち覚える必要はありません。

      着付けのポイントは襦袢・着物・帯です。これらのポイントを一度に覚えるのは勿論ありなので1日で教えてくれるお教室もあります。多いのは、2~3回通って徐々に慣れながら覚えていくケースですね。
      着付けの一番の難関は帯結びなので、教室に3回以上通う必要がある場合は、帯結びのバリエーションを覚えるためと言っても過言ではありません。

      最近では無料で教えてくれるようなところもあるようですし、訪問着にお太鼓結びとピンポイントなニーズに対して短時間で教えてくれるパターンもあるようです。
      着物をレンタルして着付けを受ける場合であっても、自分に着やすいよう工夫できるようになりますし、着崩れの心配もなくなります。着物を着る上で、これは結構大きなことかと思います。

      私自身、若い頃、振袖で帝国ホテルのロビーにいた際、外国の方に何度も声をかけられたり、写真撮影を頼まれたりしたことがあります。
      ついこの前も、件の友人の姪が海外に赴任した際、公的レセプションの場に友人が貸した着物(辻が花)を着て行ったら、有名女優(名前失念😅)に話しかけられた、と聞きました。
      やはり着物には、日本文化に裏打ちされた美しさやパワーがあるのだろうと思います。

      多少柄にもよりますが着物に年齢制限はありません。
      人生まだまだこれからです。
      海外での教室事情は全く分かりませんが、習うのは今からでも遅くはないと思います😄

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  2. nikonikomaison より:

    KYOさん、こんな時に一緒にそばにいてもらえて、お友達はとっても心強かったことでしょう。着物、私も一人じゃ着れません。知識も全くなし。たまに、日本人なのにこんなことでいいのか?と思うことがあります。

    いいね: 1人

    1. KYO より:

      nikonikomaisonさん、コメントありがとうございます😊
      着物と着付けは知らないのが今時の普通ですね。
      以前、海外出張した際、現地の方に日本の文化を上手く説明出来ず、悔しかったことがありました。日本人なのにダメじゃんと。
      なので、海外に身を置くと、日本を強く意識するというのは、なんとなくですが、わかる気がします。

      私が着付けを習おうと思ったのは、そもそも家に着物があったからですが、茶道をやっていると必然的に着物を着る機会があるので、自分で自由に着られた方が経済的かつ便利かなーという打算もありました。

      私の若い頃ですら、友人のように、知らないまま大人になった人の方が多かったと記憶しています。平成初期ですらそんな状態だったので、令和の今やをや、ですね。

      また、最近の家庭では和ダンスは勿論のこと、畳の無い家も増えていると聞きます。友人の家は一軒家ですが、やはり和室がありません。

      着る時に着物も着付けもレンタルするというのが今時の普通なので、着物のことを知らないままでもプロにお任せで特に問題はないかなーと思いますが、着物を持っているのに知らない場合には、保管の面などでちょっと危険かなーと思います。

      いまは YouTube などの動画が沢山あるので、知りたいことが比較的簡単にネットで調べられます。
      昔はお金を出して通わないと習えなかった知識も、今では探せば見つかることが多くなりました。

      令和は、着物や着付け業界にとっては受難の時代かもしれませんが、知識を簡単に得ることが出来るという意味では、良い時代になりました。

      いいね: 1人

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