玉ねぎ麹

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最近通っている日帰り温泉の近所(産直売り場)で生糀を見つけました。

石塚糀店さん、つまり糀屋さんの生糀です。

糀屋さんの生糀

甘酒糀と書いてあり甘酒レシピ付きでしたが、普通の米糀なので何に使っても大丈夫(のはず)です。

いまちょうど新玉ねぎが出回り始めたところなので、新玉ねぎを使って玉ねぎ麹を仕込むことにしました。

新玉ねぎ
生糀とピューレにした玉ねぎ

材料さえあれば作り方は比較的簡単です。

1. 玉ねぎをすりおろします。

普通に手ですりおろすか、ミキサー等(うちはバーミックス)で粉砕してピューレ状にします。

2. 塩切り糀(麹)を作ります。

生糀(だいたい塊になってます)

消毒した器に糀を入れます。生糀の場合には固まっているので、ほぐしてパラパラにしてから塩と混ぜあわせて塩切り糀を作ります。

塩切り糀(麹)

参考にした5つのサイトの塩分濃度は8〜13%と結構幅広でした。いま使っている塩麹の塩分濃度は12.5%なので、塩は12%にしてみました。(普通に市販されている塩麹の塩分濃度も13%程度だろうと思います)

3. 1と2を混ぜて玉ねぎ麹を仕込みます。

塩切り糀にすりおろした玉ねぎのピューレを加え、よく混ぜます。通常の玉ねぎで作る場合には、加水することもあるようですが、新玉ねぎは水分が豊富なので、水を足さないレシピで問題無さそうです。

底までしっかり混ぜる

4. 玉ねぎ麹を醸します。

いわゆる◯◯麹の仕込み方は大別すると2つあります。

一つはこのまま常温に放置したまま毎日一回撹拌し、自然に醸されていくのをじっと待つ自然派です。

もう一つはヨーグルトメーカーなどの保温器や炊飯器、低温調理器やスープジャーなどを活用し、保温温度を56〜60度程度に保ったまま4〜8時間前後おくことで一気に醸す時短派です。

自然派は昔からある伝統的な作り方で、時間がかかる分、途中で雑菌が入って腐敗したり、撹拌を忘れて放置しすぎたりと、失敗する要因は高くなりますが、日々状態を確認することで、丁度良い塩梅を見定めることが出来ますし、容器代や電気代もかかりません。完成タイミングは気温に左右されますが、おおよそ1週間から2週間程度、夏は短く冬は長くなります。

時短派は麹菌の活動が活発になる環境(56〜60度)を作り出すことで発酵を促進する作り方なので、おおよそ4〜8時間程度で完成します。一気に作るので腐敗の心配は殆どありません。が、水分不足で麹が固いままだったり、撹拌不足で均等に醸されていなかったりすることが多々あるので、時間中は放置せず、途中様子をみて何度か水分を確認したり撹拌したりする方が良いようです。

ちなみに私は折衷派です。一旦常温に半日〜1日以上置き、麹の米部分をある程度浸水させてから保温器(カモシコ)を使っています。(カモシコはヨーグルトメーカーと殆ど同じ機能です)

TANICA 新型 KAMOSICO(カモシコ)

一日半置いた状態。かなり吸いました。

仕込みから醸しまでを一気にやる場合、4〜8時間はかかるため、完成タイミングを逆算して仕込まなくてはなりません。途中、何度か攪拌することを考えると、加温スタートが夜になるのは避けたいところです。

その点、一旦時間を置き、自分の好きな時間から始めることにしてしまえば、時間調整もしやすくなりますし、米糀へ水分が浸透する時間稼ぎにもなります。なので、最近では夜仕込んで翌日か翌々日の朝から加温するようにしています。以前は毎日出社だったので週末しかやれませんでしたが、いまは週3テレワークなのでやり易くなりました。

自然派なら常温放置が基本なので、1〜2日放置してから加温を始めたところで、今は冬ですし、特に問題は無いだろう、と勝手に思っています。あくまでも自己責任なのですが。

8時間保温した後の様子がこちら。

加温終了

蓋を外した途端、玉ねぎを炒めた時のような香ばしい香りがしてきました。色もそんな感じになりました。玉ねぎ麹はコンソメ代わりになるとよく聞きますが、匂いだけで納得しました。

玉ねぎと米糀のつぶつぶまみれ

5. 玉ねぎ麹の完成です。

玉ねぎ麹の色が変わり香ばしい匂いがして来たら完成(らしい)です。麹や玉ねぎのつぶつぶが気になる場合には、ピューレ状にしてしまうと使い勝手が良くなります。

◇玉ねぎ麹をピューレ状に。(お好みで)

しばし冷ました後、ミキサー等(うちはバーミックス)でピューレ状にします。

バーミックスならあっという間

◇保存方法

ピューレ状にした麹はボトルに入れて使っています。両脇にある色付きの容器は百均で買いました。ボトルに入らない分は醸した時の器のまま保存しています。

左から玉ねぎ糀(今回の)、塩糀、醤油糀

保存は冷蔵庫にて。日持ちは塩分濃度にもよると思いますが、一般的に塩分濃度13%の塩麹の場合1〜3ヶ月と言われています。玉ねぎ麹だとどうなるのかは正直よく分かりませんが、参考サイトでは最低2〜3週間(塩分濃度8〜9%)とありました。周囲の環境はもちろんのこと、使用容器や器具、材料の消毒状態にも影響されるので、この辺は自己責任かなと思います。1ヶ月は持って欲しいなと思いつつ作りました。塩が慣れるまで数日置いたら更に良い感じになりました。

◇作ってみて

玉ねぎ麹は今回初めて作りましたが、何故もっと前から作らなかったのか。。。と後悔するくらい良い調味料だと思います。おそらく賞味期限を気にする必要が無いくらいの勢いで使い切りそうなので、新玉ねぎのあるうちにもう一度仕込みたいなと思っています。

◇使い方

まずはコンソメ的な用途としてスープ作りに活用しています。水と春野菜に玉ねぎ麹と胡椒少々、これだけでとても美味しいスープが出来ました。肉も出汁も無いというのに、こんなに満足度が高いスープになるとは、という感じです。

春野菜スープ

塩麹を下味付けに使うと、麹がお肉を柔らかくすることはよく知られていますが、玉ねぎにもタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)があるので、下味付けの際に玉ねぎ麹を使うと、お肉がより柔らかく美味しくなっている気がしました。

玉ねぎ麹をシャリアピンステーキ(玉ねぎパワーで肉を柔らかくする料理)に使ったら、最高なんでは?と、ふと思いました。焼肉の下味付けでも大活躍しそうです。

ドレッシングを作る際にも大変重宝しています。塩味はもちろんのこと、味噌にも胡麻にもマヨネーズにもよく合いました。

玉ねぎ麹なので、玉ねぎが合う物なら何でもアリかと思い、新じゃがのポテトサラダとたまごのソースに加えてみたところ、控えめに言って最高でした。旨み激増し!

超うまー!

塩麹を使う場面の殆どで使えそうな気がします。きのこと玉ねぎだけのグラタンでも肉無しで全く問題ありませんでした。

きのこグラタン

◇レシピ再考

おさらいも兼ねて参考元サイトを色々見直してみたところ、今回のレシピだと塩と麹の黄金比率をやや逸脱していたことに今更ながら気付きました。

麹ブームの火付役になった糀屋本店の浅利さんは以前「麹対塩の比率は35%が黄金比」と仰っていました。そこに注目して全体のバランスをみてみると、他のサイトのレシピもおおよそ33.3〜35.7の範囲に収まっていました。塩を調整するなら合わせて麹量も調整すべきだったのかなぁと。

参考サイト(発酵食大学)で、8%より13%の方がより美味しかったという記事があったので、その件を踏まえ、若干補正を入れて塩分濃度を12%としたのが今回のレシピでした。そのため、今回は敢えて細かいレシピを載せないことにしました。

塩分濃度は低い方が良いだろうとは思うものの、低くすると腐敗の危険が高まりますし、保存期間も短くなります。低い塩分で作るレシピはどれも一度に作る量を抑えていました。おそらくあまり保存期間が長く無いからだと思います。

今回のレシピでも充分美味しいと思いますし、それほどしょっぱいとも思いませんでしたが、次回は塩分をより控えめにし、塩の対麹比バランスも整えて、作ろうと思っています。もっと美味しくなるかもですし。

メモとして、次回作る際に使う予定のレシピを今から挙げておきます。(書いておかないと忘れるので😅)

新玉ねぎ麹のレシピ(塩の対麹比35%)
生糀 27%/塩10%/新玉ねぎ63%

今回作った物の比率も比較のため挙げておきます。(塩の対麹比55%)
生糀21.7%/塩12%/新玉ねぎ66.3%

◇参考サイト一覧

糀屋本店
塩麹ブームの火付役となった浅利さんのお店です。最近は息子さん達も活躍しているようです。ブーム前のお味噌からなので、かれこれ十数年以上のお付き合いになるでしょうか。米糀や麦麹はもちろんのこと、煮大豆や甘酒でもお世話になってます。レシピも多数あります。
玉ねぎ糀の作り方

マルカワみそ
こちらも十年以上のお付き合いです。以前住んでいた場所の近所にこちらの商品が置いてあり、ファンになりました。今もこちらの味噌を愛用しています。(ヨドバシカメラなら送料無料) 作り方のYouTubeもあり、売ってる素材もとても良い物が揃っています。
玉ねぎ麹の作り方

糀屋雨風
大阪在住時に生糀でお世話になってた糀屋さんです。こちらの白味噌や自家製ポン酢もめっちゃ美味しいです。関東に戻ってから気軽に買えなくなりトホホです。
玉ねぎ麹と塩麹の使い方

榎本美沙
ひと晩発酵みそにハマって以来、あれこれお世話になっている料理家さんです。YouTubeも多数あり、最近はオレンジページなどにもよく寄稿されているようです。なのでか、オレンジページに掲載されている玉ねぎ麹は榎本美沙さんと同じレシピでした。
天然生活(玉ねぎ麹レシピ)

発酵食大学
一昨年くらいから見るようになったサイトです。石川県金沢市の企業が主体となり麹関係の情報をあれこれ発信しています。正式な大学組織ではありませんが、発酵食に関して、プロ講師による様々なレッスンを開講しており、金沢、京都、名古屋の発酵系企業が多数協賛しています。
基本のタマネギ麹の作り方

6件のコメント 追加

  1. mic.mimic のアバター mic.mimic より:

    以前塩の代わりに塩麹をフォカッチャに入れて焼いたらすごく美味しくなり、膨らみもよかったので玉ねぎ麹はどうだろうと思ってやってみました。ガーリックもうっすらと塗ってビール(お好きでないですよね)によく合うツマミパンになりました。

    ここらは麹王国なのですか?知らなかったです😅

    発酵デパートメント、なんて魅力的な名前。

    黒麹甘酒知らないです。酸味があるのいいですね。お砂糖代わりに甘酒を使うレシピをよく見かけるのでいつかやってみたいなと思っています。過去記事にも書かれてましたが、酸味もあるならサワー種みたいに使えるかもしれないですね。

    いいね: 1人

    1. mic.mimic のアバター mic.mimic より:

      過去記事探して下さってありがとうございます。

      いいね: 1人

  2. mic.mimic のアバター mic.mimic より:

    来ましたね玉ねぎ麹の投稿。ほんとに旨味がたっぷりで材料がこんな少しとはビックリする味ですよね。

    パン生地に少し混ぜても美味しかったです。

    いいね: 1人

    1. KYO のアバター KYO より:

      mic.mimicさん、コメントありがとうございます😊
      パンに混ぜる!さすがです!
      お住まいの地域は麹王国と言われていると以前Hanakoの記事で読みました。麹を使うパン屋さんが多いとか何とか。
      いまうちの冷蔵庫にはみやもと糀店の黒麹味噌があります。
      そういえばこちらの黒麹甘酒はとても甘酸っぱいんですが飲んだことありますか?
      以前発酵デパートメントでこちらの味噌を買いました。今ある味噌は追加で買ったものですが、面白かったので、その後、甘酒も買いました。あれをパンに入れたら酸味が出るのでは?と思いました。
      過去記事はこちら

      下北沢 発酵デパートメント

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  3. 洋子 のアバター 洋子 より:

    塩麹は以前に作ってみたことがあるのですが
    タマネギ麹というのがあるのですね!
    なるほど、色々使えそうです。
    ポテトサラダと卵のソース、美味しそうですね✧

    いいね: 1人

    1. KYO のアバター KYO より:

      洋子さん、コメントありがとうございます😊
      玉ねぎ麹はここ数年かなり話題になって来ました。普通より新玉ネギの方が絶対良いとみなさん仰ってますので、お試しするならいまがチャンスと思います。
      ちなみに、あの時作ったボトルはそろそろ使いきりそうなので、今週末辺りにまた仕込もうかと思っています(^-^)

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